臨海公園の大観覧車・・・
夜は、色とりどりの光が・・・円の中で遊んでいる
その光は・・・今日、クリスマスイブだけは
大きなツリーになる
公園の街灯の光
対岸のマンションの部屋についている温かな灯かり
ひとつひとつ・・・
そこに誰かが居る
そう思うと・・・俺は自分の孤独が少し薄らぐ気がして
この場所へきていた
そして、高校二年のクリスマスイブ・・・
建設中の大観覧車の光が・・・試験点灯するのを見つけた
小さな光が・・・どんどん上へ進んで
大きなツリーになった時
真っ先にのことを思った
それから一年
高校3年のクリスマスイブに・・・
俺はを誘ってこの場所へきた
時計の針に合わせるように・・・光のツリーが現れたとき
は・・・小さく
「うゎぁ・・・綺麗」
そう声を上げた
その反応だけで・・・俺は満足で
一年間・・・・ずっと黙っていて
そして・・・イブにをこの場所へつれてきてよかった
そう思ったんだ
それから・・・一年
またクリスマスイブはやってきた
俺は・・・一人で埠頭に立っていた
孤独を薄らげてくれたはずの・・・対岸の灯かりは
俺の心に虚しさを届けるだけで
ただ・・・・ぼんやりと
大きなツリーが出来上がるのを・・・もう3回も眺めていた
「馬鹿だよな・・・俺は」
声に出していた
誰がそこに居るわけじゃない・・・
そう、俺の近くには誰も居ない
「夏休みは、ええっと、海へ行きたいし
それからそれから〜、ねえ珪くんはどこがいい?」
は・・・5月に入ったころから、夏の予定を楽しみにしていた
俺ももちろん、恋人として初めて迎える夏に
多くの期待を持っていた・・・もちろん、いろいろな意味で
二人で・・・旅行の雑誌を眺めたり
電話で相談するだけで嬉しかった
でも、モデルの仕事から一歩進んでドラマの仕事が入ってから
俺を取り巻く環境は一変した・・・
大学へ行く暇もないほどのスケジュールが組まれた
モデルとは違う世界に・・・戸惑い・・・
その厳しさに・・・俺は知らずに疲労を覚え
けれど、一度はじめたことを
そう簡単にやめるわけにもいかずに・・・
気づくと・・・との時間がほとんど取れなくなっていた
は・・・
それでも、俺との夏のことをずっと楽しみにしてくれていた
8月のある日
もう夏休みも半分過ぎようかというある日
久しぶりの電話で・・・俺たちは行き違った
「珪くん・・・おやすみ取れないね・・・」
「ごめん・・・今は本当に、忙しい」
「あんなに楽しみにしてたのに海いけないね・・・あぁ〜あ〜」
のため息は・・・本当に素直な気持ちだったはずだ
今思えばそれは充分解かる
でも、そのときの俺は自分の疲れのほうが強かった
だから・・・の言ったことに、どこかカチンときて
「忙しいのは解かってて俺と付き合ってるんだろ?そのくらい理解してくれ」
「珪くん・・・」
「そんなに海に行きたいんだったら・・・他の友達といってくれ
俺はおまえと一緒に出かけても楽しい思いをさせてやれないから」
「・・・そんな言い方しなくても」
「疲れてるんだ・・・悪い、もう切る」
あの夏の日・・・俺が切った電話
それ以来、は俺を避けるようになった・・・
自分が悪い
そう解かっている俺は・・・結局連絡をして罵倒されるのが怖かった
そして、俺たちの距離は離れていった
対岸のツリーは・・・4回目
ゆっくりと出来上がる光は・・・俺の心の中をざわめかせる
どうして・・・
あんなふうに俺は我が侭になってしまったのだろう
卒業式で・・・への思いが届いて
俺は・・・自分で満足して
そして、に甘えていった
本当は・・・守ってやらなくちゃいけないのに
気持ちを受け止める事すらできなかった・・・
「馬鹿だよな・・・俺・・・どうしてここへきたんだろう・・・」
自分への問いかけは・・もちろん答えがわかってる
ここは・・・との思い出の場所だから
5回目のツリーが・・・点灯しても
俺は、もう見ることができなかった
この寒空に・・・2時間半
本当に・・・馬鹿だな・・・俺は
目を閉じて・・・自分に言い聞かせた
「もう帰ろう」
そう声に出さなければ・・・俺の足は動くことすら出来なかった
そして振り返り・・・俺は、言葉を失うことになる
「珪くん・・久しぶり」
「・・・おまえ、どうして・・・ここに・・・」
「何でだろう・・・解からないけど・・ここにきたかったの」
「・・・・いつからそこに居たんだ?」
「ツリーの点灯・・・もう3回見たよ・・・」
コートの襟を立てて・・・は肩をすくめて笑った
俺がじっと対岸を見つめている後ろで・・・
は俺を見ていた・・・・
「珪くん、あのね・・・私、言いたい事がある」
「え・・?」
「誕生日、10月16日おめでとう」
「・・」
「だって言いたくても言えなかったの・・だから言わせて
おめでとう、珪くん」
「・・・ん」
「それから・・・ドラマもCMもいつも見てるよ
珪くん頑張ってるなぁって思ってるし、いつも応援してる」
「・・・・」
「それから・・それから・・・」
「・・・元気だったか?」
「うん、私は元気、すごく・・・げん・・き・・・」
の頬を・・・ひとすじの涙が流れた
俺は・・・もう・・・堪えることができなくて
駆け寄って・・・を抱きしめた
「ごめん・・・」
「・・・珪・・くん・・・」
「ごめん、俺・・・おまえのこと傷つけて・・・」
それ以上は・・・言葉に出来なかった
「珪くん・・・クリスマスだよ」
「・・・俺・・・」
涙を流しながら・・・それでもにっこりとは笑った
俺は・・・の頬の手で拭う
「・・・愛してる」
は目を閉じて・・・頷いた
そして・・・俺の胸に顔をうずめ
声を出して泣いた
俺は・・・ただただ・・・腕の中のを抱きしめた
不器用な俺
おまえを傷つけてしまった俺
だけど・・・おまえを愛してる
「メリークリスマス・・・珪くん」
腕の中の温もりが・・・二度と消えないように
強く強く抱きしめた
もう二度と離さない・・・・そう誓って・・・
END
dream-menu